オルカの日記

雑記と少しの自転車旅

映画ゆるキャン△

コロナが流行る直前のこと。

無性にひとりでのんびりしたくなり、キャンプ道具をそろえた。

結局すぐにコロナが流行ってそれほど出かけることもなく、それからは近くの河川敷でソロキャンプを数回楽しんだだけで終わってしまった。

その頃キャンプを調べた時にゆるキャン△というアニメを見た。

 

女子高生がソロキャンプしたりグルキャンしたり、アニメだからこそ許されている訳で。キャンプ場とはいえ絶対的に治安が良いというわけではなく、キャンプギアの盗難もあれば出会い目的の男だっている。面倒なのが教えたがりのキャンパーだ。こちらはひとりを満喫したいがためにキャンプに来ているわけで効率もなにも求めてはいないのに、「それはこうした方がいい、こうすると早くできるよ」などと勝手に講習会場化させられてはたまったものではない。とんでもない時間泥棒なのである。ほんと許せん。

うん、止まらなくなるから話を戻そう。

キャンプは基本的に楽しいのだが、思い返すとこういう嫌な思い出が先に出てきてしまう。ゆるキャンのようなアニメにしたって、おっさんの趣味を女子高生にやらせるのが近年のアニメのトレンドなのかというすっかり歪んだ物の見方をしてしまっている。

まぁおっさんがむさ苦しく色々やるよりも、女子高生がやればとりあえず花もあり絵になるのである。女子高生がソロキャンプなんて現実では絶対に親が許可を出さないだろうが、想像上ではなんでも可能なのだ。

 

さて、悪い感情を吐き出しているところで誤解されないよう言っておくが、僕はゆるキャン△が好きである。漫画の方も買っているし、DVDも買った。のんびり見ているだけでもキャンプの知識が入ってくるので3期の制作も決まり公開をとても楽しみにしている。

ちなみに僕は各務原なでしこの元気なところがとても好きだ。料理ができるところが好きだ。推しの子である。

 

そして、ついこの間の話。

アマゾンプライムで映画ゆるキャン△を公開していたのでウッキウキで視聴した。そう、今日の話は映画ゆるキャン△である。アニメのゆるキャン△を見てない人は見てから、その後に映画ゆるキャン△を見てから読んでほしい。

 

アニメでは女子高生だった主人公たちも映画ではすっかり大人。みんな働いていて、全員が集まってキャンプ場を作ろう、という話である。

あの女子高生だった彼女たちが車を運転し、高速道路をバイクで走り、小型のショベルカーを操り、草刈機を使いこなし、少しだけ声優も声を大人びさせて演じている。時代の流れをしっかり感じさせてくれるのであるが、アニメに戻ったとき、「あぁ、この子たちは将来こういう仕事についてこういう生活を送るんだなぁ」と別に悲しい将来でもないのにどこか寂しい目で見ることになってしまいそうだ。きっとアニメで夢想していた彼女たちの将来をしっかりと確定した形で見せつけられてしまったことが悲しいのだと思う。

 

僕の好きな各務原なでしこは昭島のモリタウンでアウトドアショップの店員をしている。

なでしこはこういう仕事に就きそうだと思っていた。ただこのシーンを見たときに、どうしようもなく寂しいノスタルジーな思いに駆られる。

というのも、僕の大学時代、昭島駅前に友人が住んでいて、ちょくちょく泊まりに行っていた。当時住んでいた八王子の暁町からスクーターで創価大を突っ切り、途中どこか一箇所を曲がるだけで拝島に着いて、そこからちょこっと行けば昭島だったろうか。大学生の男の集まりだから別にみんなで料理を作るわけでもない。そこらへんで食べるのが常で、モリタウンあたりは食後の散歩コースだった。

よりによって昭島かよ、と。もう17年ほど前の話で、モリタウンも当時から開発中で名前だけは記憶に残っている。当時は店も少なかったが、Googleマップで見た感じ、今はすっかり変わってしまったようだ。当時あった店はサイゼリヤラオックスくらいしか覚えていないが、モリタウンのコンセプトが生きているせいかアニメを見ただけでも懐かしさがあった。やれ身延だ本栖湖だ四尾連湖だと知らんところの話を見てるだけだったのであまり知っているところを見たくはなかった。知っている場所が出てくると見方も変わってくる。ゆるキャンの将来の話を見るのに、自分の過去を思い出すことになるとは思ってもいなかったので心中穏やかではないのだ。まぁ全ては自分の問題だ。ゆるキャン△は少しも悪くない。

てかなでしこもリンも髪切って可愛くなってるのな。全然関係ないけど僕はこのくらいの髪の長さが大好きなんだよ。ちゃんと女の子を感じる程度に短い感じ。うん。たまらん。

 

さて、ネタバレもあまりよろしくないので詳しくは書けないが、キャンプ場作りに絶望的な瞬間が訪れる。さすが映画だ。「ゆる」キャン△と言えど話は山もあれば谷もあるのだ。

まぁキャンプ場作りなんて簡単にできるわけもなく、何かしらのトラブルはつきものだろう。でもね、あまり悲しいシーンは見たくないのだ。ゆるいはずのアニメでそんなどん底を見せてくれなくてもいいじゃないか。そして恵那のとこの犬、ちくわが年とってあんまり元気ない感じが絶妙に切ない。この映画内で死んだりしないだろうな、と不安に思ってしまう。あおいの職場も閉校になるしなんだろう、複数の視点からすごい寂しさを煽ってくるじゃん。本当に見ていて悲しくなってしまう。僕こういうのダメなんだって。いつも「あそこでキャンプやろうぜ」「キャンプで美味しいご飯最高!」みたいなアニメだったのに、予想してない感情を揺さぶってくるのやめろ。映画としてはとてもいいかもしれんけど今はやめろ。ちゃんと気持ち良く見終われるんだろうな、この映画。

恵那とちくわの河川敷散歩。非常に平和なワンシーンなんだけど、涙腺がだいぶやばい。映画館で見てたら周りの人に笑われるところよ。

 

とまぁ、個人的には寂しかったり悲しかったり、そういう感情をとにかく刺激される映画だった。個人的な部分でそうなってただけだから、他の人の感想は全く別のものになると思うけれど。最終的にはみんな前向きになってハッピーな結末になったから良かったし、話としても面白かったから良かったんだけど、漫画の方も連載が終わって、アニメも一通り終わってから見るやつだったな、と思っている。

今はただノスタルジー。こんなレビューでは誰も見たくはならないだろうが、感情を大きく揺さぶられたことを考えれば、僕はやっぱり見て良かったんだと思う。

今は会うこともない大学の友人を思うことも、ソロキャンプで過去をぼんやりと振り返ることと同じだ。僕は映画を見ながら、自室でソロキャンプをしていたのだ。