オルカの日記

雑記と少しの自転車旅

少額訴訟の裁判、終わる。

前記事からの続きです。

 

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orukamon.hatenablog.com

 

裁判を起こすぞ、と記事にした前回から2ヶ月は経っているだろうか。

 

一応、訴状の提出も済み、つい先日、裁判が終わった。

そう。少額訴訟、解決が早い。

 

9月22日に訴状を提出。

11月11日裁判。

 

実にひと月半で終わってしまった。と言ってもなかなかハードなひと月半だったが。

訴状の提出までは紛争の要点をまとめたり、訴訟の印紙や切手などの購入、わからないことがあれば裁判所に通うなどし、提出後は「裁判大体この日を予定してるけどいつがいい?」と書記官から電話があったり、被告からのトンデモ答弁書が送られてきたり。精神的な負担がなかなか大きかった。

書いていこうと思う。

 

まず提出にあたっての手数料。

少額訴訟の手数料は、請求の元金が10万円までは1000円、20万円までは2000円、60万円までは6000円とわかりやすい。これを印紙で納める。

それに加えて、相手に訴状を送るなどの切手を訴状と一緒に予納する必要がある。切手は合計5400円分。小さな少額訴訟なら6400円と裁判所までの交通費だけで起こせるということだ。

実にお手軽である。

ちなみに訴訟の請求内容に「訴訟費用は被告負担とする」を付け加えれば実質無料である。

 

訴状の作成は本当に簡単だ。

まず裁判所に行く。「少額訴訟を検討している」と言うと担当の人がとてもにこやかに出てくる。

言い方は良くないかもしれないが、裁判所ではノルマでもあるのか、と疑ってしまう。

担当者がにこやかに「訴訟、ぜひやりましょう」と言わんばかりの対応である。

鴨(僕)がネギ背負ってきた感じである。

 

そして丁寧に訴状の書き方を教えてくれる。裁判はハードルの高いものだと思われがちだが、ここまでくればそのハードルを越えたも同然。基本はその説明にならうだけだ。

記入するのは自分の個人情報と被告の個人情報、請求の趣旨(いくら請求するのか)、紛争の要点(請求の原因)くらい。

あとは契約書などの証拠になりうるもの全てのコピー(裁判所用、被告用の2部必要)。

あと前述した印紙と切手。

それくらいあれば提出まではこぎつけられる。

僕の場合は「約35万円と、平成30年5月から支払済みまでの遅延損害金年20%のお金、あと訴訟費用」を請求。証拠は契約書と現金書留の封筒と手紙くらい。

紛争の要点は時系列であった出来事を箇条書きにしたくらいの簡単なもの。

 

受理されると裁判所の書記官から「裁判は○日の○時を予定してるけど大丈夫そ?」と連絡が来る。自分の場合は提出から2週間くらい経ってからだったかな。

その電話が終わると被告に訴状を発送するようで、被告は同封されている答弁書を記入し返送することになる。

それが裁判所に返ってくると、その答弁書がこちらに送られてくると言う流れだ。

ちなみに、裁判所から郵便が届くので同居人がいる場合にはそれとなく伝えておいた方が良い。

「訴えられたわけじゃないから」

相手の興味をひいてしまうかもしれないがそれだけ伝えておけば余計な騒ぎにはならないはずだ。

裁判まであと1週間ほど。さて、被告から届いた答弁書の内容は。

 

請求の趣旨に対する答弁

 1 原告の請求を棄却する。

 2 訴訟費用は、原告の負担とする。

 

気持ちいいほどの全面戦争である。

契約書は無効だと言いたいのだろうか。

 

ただよく読み進めてみると記入されていない部分も多い。

紛争の要点に対する答弁では、全て間違いがない、間違っている部分がある、私の言い分はこうだ、こういう和解を希望する、などなどの記入欄があるのだが、紛争の要点の答弁については未記入で、来年から毎月3000円の支払いを希望するという記入だけがなされていた。

こちらの主張に対しては正しいとも間違っているとも答弁がない不完全な答弁書なわけである。

ただ、それでも請求を棄却するという答弁書が提出されている以上、手は抜けない。

少額訴訟は1日で審理を終える裁判なので、相手の言い分に反論する材料や証拠は裁判当日までに集めておかなくてはいけない。パソコンの中をひっかき回して当時送った督促状などを集める必要がある。こう言われたらこう言い返すという答弁書の作成、そして暗記を繰り返すことに毎日を費やした。

 

さて、裁判当日。前日は初めての裁判ということもあり、興奮して一睡もできなかった。

自宅にいるとうっかり寝てしまいそうなので近くのカフェで時間を潰し開廷の1時間前に裁判所に到着する。裁判所の入り口には「この裁判はどこどこの部屋でやりますよ」という案内が小さく掲示されている。今日は僕の裁判の一件だけのようだ。部屋に入れるのは開廷の15分前くらいからのようで待合室で時間を潰す。外では裁判所の雨水升設置の工事がなされているが大きな音はなく静かである。落ち着かない。

ちなみに全く関係ない人でも同じ部屋に入り傍聴ができるので、醜い争いが傍聴されてしまう可能性もある。足音が聞こえるたびに「被告が来たのか?傍聴されてしまうのか?」といちいち狼狽えてしまう。どうにも落ち着かない。

15分前になり、解放されたドアから部屋(傍聴席側)に入る。

書記官に名前を聞かれ、〇〇ですと答えると、

「ではこちらにお座りください」

と席へ案内される。

楕円形の大きなテーブル。書記官の対角線上に座る。開廷まで10分。とにかく落ち着かない。

3分前になると裁判官が入廷。起立して迎える。被告はまだ来ない。というか傍聴席にも誰も来ない。だだっ広い厳格を纏った部屋に裁判官、書記官、僕の3人。無言。落ちつかない。

 

そしていよいよ時間になる。被告はまだ来ない。「これは来ないねぇ」裁判官が言う。

「どうするんですか?」「始めますよ」

始まった。

 

裁判官が請求の趣旨を読み上げ、紛争の要点も読み上げる。それに対して「はい」と答える僕。

「あ、この時に1万円の弁済はあったのね?ふふっ」

「で、今度は7万円の弁済?」ニヤニヤ

何が面白いかはわからないけど楽しそうな裁判官。

「月々3000円じゃあ遅延損害金が月5000円以上あるからねぇ。雪だるま式にねぇ。ふふ、返し終わらないねぇ」

これは僕も笑った。

「手紙には息子の車代とか自己処理費用で返せないって書いてあったんだ?うーん、それは息子が返さないとねぇ」

「被告の答弁書を見ると、紛争の要点に対する答弁が未記入で、これは原告の主張を認めていると解釈することになるんだよね」

「ちゃんと書いてあれば、被告が来なくてもそれなりに審理はできるんだけどね」

「だから、原告の主張をそのまま認めます」

「判決を言い渡しますね」

と請求の趣旨がそのまま認められる判決を読み上げ、

「来週判決文送るね」

「支払いがなければ強制執行とかできるようになるから、その内容は裁判所に来て聞いてね」

「じゃあ終わります」

閉廷。早い。

 

と言うわけで、被告不在のままあっという間に裁判は終わった。15分くらいだろうか。

ちなみに、被告が裁判に来ないことは往々にあるらしい。

こちらとしては被告にごねられて「支払いの猶予」「遅延損害金の支払い免除」が可能性としてあっただけに被告の不在でそのまま主張が認められたのは大きい。

あとは異議申し立てがないのを祈るだけである。

 

さて、いくら判決が自分有利に出たとは言っても、取れないところからは取れない。

被告にお金がないのだから払ってもらえるわけではない。じゃあなんのために裁判を起こしたのか。この判決で、少額訴訟債権執行が可能になり、申立てれば相手の給料などを差押さえてくれる。また不動産も差押えられる強制執行も可能なのだとか。

そこまでするかはまた別の話だけれど、「自己破産」されてしまうと本当に1円も取れなくなってしまうのでやれるならすぐにでもやったほうが良いかな、とも思う。

実は答弁書が届いた頃に被告から手紙が届いていて、その手紙の中に「自己破産」の文字もあったのだ。

別に彼の不幸を願っているわけでもないのだが、それでもお金を返してもらわないことにはこちらもご飯が食べられないのである。

ここは息子にお金を返してもらって、その金で返済してくれと手紙を送ってその通りにしてもらうのがお互いにとって最善の方法だと思っている。

息子が働いてるかどうかもわからないので、話し合いと就職活動期間の支払い猶予をつけ、月々30000円くらいの支払いをお願いするのが適当だろうか。

なんにしてもまだ異議申し立てができる期間である以上、相手の出方を伺うしかない。

異議申し立ての期間が終わって判決が確定したら、こちらから手紙を送ってみる予定である。

その際には請求の棄却を求めたことに対して文句を言わないよう、かつ厳しく大人の対応を心がけるようにする予定である。

 

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